実直なフレンチ シェフと厨房 真心デザート

今できることをひとつずつ。

仔馬が生まれてからこの手記を休んでいましたが、その間も農場づくりに励んでいました。とはいえ本当に、一歩、一歩、一歩。欲ばった目標を立てているつもりはなく、むしろ謙虚に「まずここまでやろう」と思って取り組んでいるのですが、思うようにことは進みません。たった1mくらい進むつもりが、やってみると1mmにも達しないといったことばかり。

農場を始めてからそんなことの連続ですが、最近は落胆したり焦ったりすることはなく、とにかくコツコツ、今できることをひとつずつ。そんな思いで農場づくりに取り組んでいます。


昨年は6月に開場整備作業をしたのですが、冬場の大雪のために牧草地が荒れてしまい、開場を断念。冬のあいだ預けていた十勝の牧場から馬たちを呼んだのに、作業終了と同時に十勝へとんぼがえり。
今年こそはここで冬を越そうと思って作業を始めたのに。冬を越えるどころか、2週間も開けていられなかった。1mmどころか0.1mmにも満たないなと、そのときは感じました。

そんなわけで昨年は北海道と東京を行き来する回数は少なく、そのぶん農場と神宮前のお店をどうやって両立させるか。あれこれ考える時間が持てたと思います。





農場に、住む。

仔2015年。今年も6月にル ゴロワ農場4年目の開場作業を行いました。例年より短い、1週間の日程。そして開場作業を終えて、私は農場に住み始めました。去年までは町のアパートを借りてそこから農場に通っていたのですが、今年は厩舎の脇の建物を寝食できるよう修繕しました。開場準備の作業を終えて、シェフは神宮前のお店へ。私は農場に残りました。




夜。真っ暗。完璧な闇。人里離れた森の中の暗闇は、かなり怖いです。深夜に異様な気配を感じてカーテンをそっとずらして窓の外をうかがうと、そこにはギロリと浮かび上がる大きな目。ぎょっとすると、それは放牧している馬が家の中をのぞき見しようとしていた、なんてことも。
ここでの暮らしは、夜はこんなにも闇で、太陽はこんなにも燦々としていると、そんなあたり前のことにあらためて感じ入ったりします。





農場と神宮前のお店の両立。離れた場所で、体はひとつ。どうしようかとあれこれ悩んで考えてきたけど、悩んでももがいても体はひとつ。これまでは、神宮前のお店に軸足を置いてやってきたけど、今年は農場に住んで、北海道と東京を行き来します。 そして1ヵ月が経ちました。最近の私は、作業の擦り傷や虫さされの痕が絶えないけど、相変わらず一歩一歩コツコツだけど、こわばっていた体がほぐれた感じです。

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vol.1  ル ゴロワ農場に、スタッフ全員集合!
vol.2  仔馬誕生! 名前は「くるみ」です
vol.3  新しい一歩
vol.4  ふゆだより


第1話 北海道で馬車のケーキ屋さん
第2話 二つのル ゴロワ
第3話 私の夢・あこがれ・尊敬する北海道
No.1 2011年7月13日
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